横須賀市の地域別地価分析|5〜10年の推移から見る今後の投資の可能性

横須賀市は神奈川県南部に位置し、海軍基地や観光名所「猿島」、三浦半島の自然が魅力の港町です。本記事では、横須賀市内の地域別地価動向を詳しく解説。中心部や郊外、海沿いなどのエリアごとの地価の特徴を整理し、それぞれの将来性についても考察します。
また、地価に影響を与える人口動態や再開発の動きを紹介し、不動産投資に役立つ具体的なデータをお届けします。横須賀市の地価動向を理解し、次の一歩に役立てましょう。
※本記事は2025年1月調査時点の情報となります。
横須賀市内の地域別の地価動向
横須賀市はエリアによって地価に大きな特徴があり、地域ごとの土地利用や開発の進展度合いがその動向に影響を与えています。中心部、郊外、そして海沿いエリアの地価動向について、将来の可能性を以下に解説します。
中心部エリア(横須賀中央駅周辺)の地価推移
横須賀中央駅周辺は横須賀市の中でも商業地として発展している地域であり、地価が比較的高い傾向にあります。2024年の公示地価の平均は32万2857円/m²、坪単価は106万7296円/坪です。この地域では前年比で2.39%の上昇が見られ、安定的に地価が推移しています。
特に、横須賀市若松町や大滝町のような主要エリアではさらに高い地価が確認されており、若松町2丁目では85万0000円/m²という価格が記録されています。地価の最高値を記録した1988年には298万0000円/m²という高額だった一方で、その後バブル崩壊を経て緩やかな下落が続き、2023年以降から再び上昇基調に転じています。
参照:土地代データ(横須賀中央)
H3: 郊外エリア(久里浜や衣笠など)の地価推移
横須賀市の郊外エリアには、久里浜や衣笠といった地域が含まれます。それぞれのエリアでの推移を解説します。
・久里浜エリア
久里浜駅周辺では、2024年時点での地価平均が13万0053円/m²、坪単価が42万9928円/坪となっています。前年比では2.38%の上昇を記録しており、近年緩やかな地価上昇が見られるエリアです。駅近くの久里浜4丁目では40万9000円/m²という価格が見られる一方、徒歩圏外になると地価は12万円/m²前後に落ち着いています。
過去40年の推移を見ると、1990年代に高値を記録した後、バブル崩壊を経て下落を続けましたが、2023年以降は底値からやや回復傾向が見られます
参照:土地代データ(久里浜)
・衣笠エリア
衣笠駅周辺では、2024年時点での地価平均が12万3342円/m²、坪単価が40万7742円/坪となっています。前年比では0.07%の微増で、地価は横ばいに近い状態を維持しています。この地域では、衣笠栄町1丁目のように駅から250メートル圏内の地価が28万4000円/m²と高額である一方、少し離れた阿部倉エリアでは5万3800円/m²といった手頃な価格帯の土地もあります。
過去の推移を見ると、衣笠エリアは久里浜同様に1990年代をピークに下落が続きましたが、2024年は底値からやや回復傾向が見られます。
参照:土地代データ(衣笠)
海沿いエリア(三浦半島寄り)の地価推移
海沿いエリアでは、YRP野比駅周辺が代表的な地域です。2024年時点での地価総平均は10万3350円/m²、坪単価は34万1652円/坪で、前年比で1.21%上昇しています。この地域では、駅近くの野比1丁目で17万9000円/m²という価格が確認されている一方、長沢や粟田といった少し離れたエリアでは8万〜10万円/m²程度の価格帯が一般的です。
このエリア全体では、1990年代から緩やかな下落が続いたものの、2023年以降は回復傾向が見られます。
H2: 横須賀市の地価に影響を与える要因
地価に影響を与える要因として「人口動態の変化」と「開発計画の進行」が挙げられます。ここでは、それぞれの要因を解説します。
人口動態と住宅需要の関係
横須賀市は、かつての高度経済成長期には人口が増加し、住宅需要も大きく高まりました。しかし、近年は少子高齢化や若年層の都市部流出が進み、人口減少が続いています。ピーク時の1999年の430,071人からは減少傾向にあり、2023年は 374,325人となっています。
少子高齢化の影響で高齢者向け住宅の需要が一部で増加している一方、若い世代の転出が顕著なエリアでは住宅需要の低下が見られます。また、横須賀市では移住政策を推進しており、自然豊かな環境や海沿いの生活を魅力として移住者を呼び込む取り組みを強化しています。
開発計画
横須賀市内で進行しているいくつかの大規模な開発計画は、地価や地域の利便性に大きな影響を与えています。2025年1月時点で進行中のプロジェクトをいくつか紹介します。
H4 追浜駅周辺の交通結節点整備
追浜駅周辺は、鉄道や主要道路が交わる交通の要所です。このエリアでは、駅前のバス停やタクシー乗降場を集約することで、交通の利便性を高める計画が進行中です。さらに、歩行者デッキの整備や多目的広場の設置も予定されており、地域の回遊性や住環境の向上が期待されています。
この計画が進むことで、追浜駅周辺の居住エリアとしての魅力が高まります。また、商業施設の整備やスポーツイベントとの連携が進むことで、周辺地域の活性化につながる可能性があります。さらに、災害時の避難拠点としての役割も強化されることで、安全性という観点からも地価にプラスの影響を与えることも期待できるのではないでしょうか
参照:追浜駅交通結節点整備事業計画【PDF】
H4 国道357号の延伸計画
横浜市八景島から横須賀市夏島町までの区間で進行中の国道357号の延伸計画は、広域交通網の利便性を向上させる重要なプロジェクトです。この計画が実現すると、追浜エリアを含む横須賀市全体の交通利便性が向上し、周辺地域の地価にも好影響を与えると考えられます。
国道357号の延伸によって、交通量の分散効果が期待され、国道16号の混雑が緩和されるでしょう。また、アクセス性の向上によって、企業の進出や商業施設の誘致が促進される可能性も高まります。
参照:横須賀市都市計画マスタープラ【PDF】
H2: 投資家にとっての横須賀市の魅力とリスク
横須賀市は、自然豊かな環境や交通の利便性、独自の地域性を持つエリアです。不動産投資の観点でも注目すべき要素が多く、投資家にとって魅力的な地域といえます。ここでは、横須賀市の投資エリアとしての魅力、考慮すべきリスクについて詳しく解説します。
投資対象エリアとしての魅力
横須賀市が投資家に注目される理由のひとつは、交通の利便性と地域ごとの独自性にあります。特に主要駅周辺は商業施設や住宅地が集まり、生活の利便性が高い状況にあります。
また、横須賀市は、JR横須賀線と京浜急行線という2つの鉄道路線を有し、東京都心や横浜市へのアクセスが良好です。横須賀中央駅や久里浜駅といった主要駅の周辺エリアは、商業施設が充実しているため、生活拠点としての需要が安定しています。
さらに、再開発計画が進行している追浜駅周辺は、交通結節点の整備や国道357号の延伸により、地価や住環境の改善が期待されています。
投資におけるリスクと回避策
横須賀市で不動産投資を行う際には、地域特有のリスクを考慮する必要があります。以下では、主なリスクとその回避策について解説します。
地価の変動と需要の二極化
横須賀市内では、再開発が進むエリアと、人口減少の影響を受ける郊外エリアで、地価の動きが異なります。たとえば、追浜駅周辺のような再開発エリアでは地価上昇の可能性がありますが、郊外エリアでは空室リスクが高まる恐れがあります。このようなリスクを回避するためには、再開発計画やインフラ整備の進捗状況を見極めた上で投資対象を選定することが大切です。
空室リスクと需要予測
郊外エリアでは賃貸物件の供給過剰が発生し、空室リスクが増加する場合があります。このリスクを軽減するためには、駅近や商業施設が充実したエリアに焦点を当てることが重要です。また、物件の付加価値を高めるために、最新の設備や快適な間取りを提供することも効果的です。
災害リスク
横須賀市は海に面しているため、台風や高潮、地震といった自然災害のリスクが存在します。物件選びの際には、ハザードマップを活用し、災害リスクの低いエリアを選ぶことが推奨されます。また、災害に備えた構造設計や防災設備を備えた物件は、入居者にとっても魅力的です。