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REIT or 現物不動産:金利上昇時代の投資戦略を徹底比較【2025年最新版】

不動産投資の手法には、金融商品として取引される「REIT(不動産投資信託)」と、自らがオーナーとなる「現物不動産投資」の大きく二つに分かれます。特に、金利が上昇し市場の不確実性が増す2025年において、両者の特性を深く理解し、自身の投資目標に最適な手段を選択することがこれまで以上に重要になっています。

本記事では、REITと現物不動産投資を「初期投資」「流動性」「管理」など7つの指標で徹底比較し、自身の状況に合った選択を取るための判断材料として、参考にしてください。

【この記事のポイント】
・不動産投資には、金融商品の「REIT」と、自らがオーナーとなる「現物不動産投資」の2つの手法がある
・金利が上昇する2025年においては、両者の特性を深く理解し、自身の投資目標に最適な手段を選択することが重要

根本的な違い:間接的な投資家か、直接的な事業主か

REITと現物不動産は、どちらも不動産に資金を投じる方法ですが、投資家としての関わり方に大きな違いがあります。ここでは、REITと現物不動産それぞれが担う役割とリスクの違いについて解説します。

【この章のポイント】
・REITは不動産を運用する投資法人の「出資者(株主に相当)」になる間接投資である
・現物不動産は物件のオーナー(所有者)となり、全責任を負う「事業経営」そのものである直接投資だ
・この「出資者」と「事業主」という立場の違いが、各項目の決定的な差につながる

REIT:不動産ポートフォリオの「出資者」となる間接投資

REIT(J-REIT)は、投資家から集めた資金でオフィスビル、商業施設、マンション、物流施設といった複数の不動産を取得・運用し、得られる賃料収入や売却益を投資家に分配する「不動産に特化した投資信託」です。

投資家は証券取引所に上場しているREITの投資口(株式に相当)を購入します。これは、不動産そのものを所有するのではなく、不動産を運用する投資法人の「出資者(株主に相当)」になることを意味します。したがって、その本質は株式投資に近く、個別の物件管理や運営に関わることは一切ありません。資産の価値は、投資法人が保有するポートフォリオ全体の収益力と市場の評価によって決まります。

現物不動産:不動産の「事業主」となる直接投資

一方、現物不動産投資は、投資家自身がマンションの一室やアパート一棟といった物理的な不動産を購入し、法務局で所有権の登記を行うことで、その物件のオーナー(所有者)になる投資手法です。

これは、家賃収入を得る一方で維持管理や空室対策などの全責任を負う「事業経営」そのものです。経営者としての判断が求められますが、物件を担保に融資を受けるなど自由度は高くなります。 この「出資者」と「事業主」という立場の違いが、以降で解説する各項目の決定的な差につながります。

7つの重要指標で徹底比較:REIT vs. 現物不動産


ここでは、投資判断に不可欠な7つの要素について、REITと現物不動産を客観的なデータに基づいて比較分析します。

【この章のポイント】

・手軽さと換金性:初期投資は数万円からのREITに対し、現物不動産は数百万円が必要 。流動性もREITが圧倒的に高い。
・管理とリスク:REITは管理不要で分散が効いている一方、現物不動産は経営判断が求められ、リスクが一点に集中する。
・収益と税制:REITはNISAでの非課税メリット、現物不動産は損益通算による節税や相続税対策、レバレッジ効果に強みがある。

1. 初期投資と資金調達

・REIT:数万円から可能な手軽さ
REITは証券口座さえあれば、株式と同様に1口単位で購入できます。銘柄にもよりますが、多くは1口数万円から数十万円程度で投資を開始でき、参入障壁は極めて低いと言えます。例えば、1口10万円のREITであれば、その金額だけで不動産ポートフォリオへの分散投資が実現します。

・現物不動産:数百万円単位の自己資金が基本
現物不動産投資では、物件価格の全額を現金で支払うケースは稀で、多くは金融機関からのローンを利用します。しかし、ローンを利用する場合でも、物件価格の一部を自己資金で賄う「頭金」と、購入にかかる「諸費用」を現金で用意する必要があります。

・諸費用:仲介手数料、登記費用(司法書士報酬・登録免許税など)、印紙税、不動産取得税、火災保険料、ローン事務手数料などを含み、一般的に物件価格の5~10%が目安とされています。

・頭金
:金融機関や個人の属性によって異なりますが、特に金利上昇局面で融資基準が厳格化する中では、物件価格の10~20%を求められるのが一般的です。
つまり、現物不動産投資を始めるには、合計で物件価格の15~30%程度の自己資金を準備しておくのが現実的なラインです。

2,000万円の区分マンション購入時の初期費用シミュレーション

 ・諸費用:約140万円(物件価格の約7%)
  内訳
 ・仲介手数料:約72.6万円
  ※目安:物件価格の3%+6万
 ・各種税金:約40万円
  ※登記費用・契約書の印紙税など、変動あり
 ・その他費用:約27.4万円
  ※ローン手数料・火災保険料など、変動あり

 ・頭金:約300万円(物件価格の約15%)
  合計:約440万円(物件価格の約22%)

このシミュレーションが示す通り、2,000万円の物件であっても、実際に手元に必要な現金は400万円を超えることがわかります。REITとの初期投資額の差は歴然です。

2. 流動性と換金性

 ・REIT:株式同様のリアルタイム売買
上場しているREITは、東京証券取引所の取引時間中であれば、スマートフォンやPCからいつでもリアルタイムで売買できます。約定すれば、通常2営業日後には現金化が完了するため、市場の動きに素早く対応したい場合や、急な資金が必要になった場合にも安心感があります。東証REIT指数は日々変動していることからも、REIT市場の活発さがうかがえます。

なお、REITを売却して利益が出た場合、株式と同様にその利益に対して20.315%(所得税15.315%・住民税5%)が課税されます。特定口座で源泉徴収選択の場合は申告不要です。

 ・現物不動産:現金化まで数ヶ月を要する非流動性
現物不動産は、売却を決意してから現金を手にするまで、一般的に3ヶ月から6ヶ月、場合によってはそれ以上の期間を要します。売却活動から価格交渉、契約、引き渡しまで多くのステップを踏む必要があります。すぐに現金化できない非流動性は、現物不動産投資の最大のリスクの一つです。

なお、売却して利益(譲渡所得)が出た場合、利益に対して譲渡所得税・住民税が課税されます。税率は物件の所有期間によって大きく異なり、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下か、5年超かで判断されます。

 ・短期譲渡所得(5年以下):税率 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
 ・長期譲渡所得(5年超) :税率 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

税率差を考慮せず短期で売却すると、手残りが想定より大幅に少なくなる可能性があるため、出口戦略は長期的な視点で立てることが不可欠です。

3. 管理運営の手間と負担

 ・REIT:一切不要な完全お任せ運用
REIT投資家は、物件の管理運営に一切関与しません。入居者募集、賃料回収、クレーム対応、建物の修繕計画といった煩雑な業務はすべて、運用のプロである投資法人が行います。投資家が行うべきことは、株式投資と同様に、保有するREITの運用状況や経済ニュースを定期的にチェックすることです。

 ・現物不動産:専門家へ委託しても残る「経営者」としての判断
現物不動産は管理会社に業務委託するのが一般的ですが、最終的な意思決定はオーナー自身が行います。例えば、「大規模修繕の実施判断」や「家賃設定・入居者審査」、「管理会社の監督」などはオーナーの重要な役割であり、経営判断が収益を大きく左右します。 

4. 分散性とリスク傾向

 ・REIT:1口で実現するポートフォリオ分散
REITを1口購入するだけで、投資家は間接的に数十から百を超える多数の不動産に投資することになります。さらに、オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテルなど、異なるセクター(用途)や、首都圏、地方都市といった地理的な分散も同時に実現します。このように資産が広く分散されていることで、特定の物件やエリアで問題が発生しても、ポートフォリオ全体への影響は軽微に抑えられます

 ・現物不動産:一点集中のリスク
一方、現物不動産は特定の一物件に資金が集中するため、以下のような「集中リスク」を直接負うことになります。

 ・空室リスク: 入居者が退去すれば家賃収入はゼロになります。
 ・災害・修繕リスク: 立地エリアの災害や、突発的な設備の故障といったリスクを直接負います。
もちろん、資金力があれば複数の物件を所有してリスクを分散することも可能ですが、REITが提供するような広範な分散を個人で実現するのは極めて困難です。

5 収益性と利回り(2025年7月時点)

 ・REIT:4~5%台で推移する分配金利回り
近年のJ-REIT市場は価格が調整局面にあったため、分配金利回りは比較的高く、平均で4~5%前後で推移しています。ただし、これはあくまで市場価格が下落した結果であり、過去10年ほどの歴史的な平均利回りは約3.9%であることも念頭に置くべきです。REITの収益は比較的安定していますが、市場価格の変動によるキャピタルゲイン・ロスも発生します

 ・現物不動産:エリアと物件で大きく変動する利回り
現物不動産の利回りは、立地や築年数、物件タイプによって天と地ほどの差があります。

 ①都心部(東京23区ワンルーム): 賃貸需要が安定し資産価値が維持されやすい反面、物件価格が高いため、表面利回りは3~5%程度と低めです。近年の物件価格上昇に賃料上昇
が追い付かず、利回りはむしろ悪化傾向にあるとの指摘もあります。

 ②地方・築古物件: 地方都市や築年数の経過した物件では、表面利回り7%以上、時には10%を超えるような高利回り物件も存在します。しかし、これは高い空室リスクや高額な修繕リスク、そして売却の難しさといったデメリットと表裏一体です。

なお、表面利回り(グロス利回り)は、年間家賃収入 ÷ 物件購入価格で計算されます。物件広告でよく使われますが、経費が考慮されていないため、実際の収益力とは異なります。

実質利回り(ネット利回り)は、(年間家賃収入 – 年間経費) ÷ 物件購入価格で計算され、固定資産税、管理費、保険料などの運営経費を差し引いた、より現実に即した利回り計算です。投資判断をする場合には、実質利回りで計算する方が安全です。

2025年の重要論点:縮小する「イールドギャップ」

2025年現在、レバレッジ(ローン)を利用する現物不動産投資家にとって、最も注意すべきは「イールドギャップ」の縮小です。イールドギャップとは、「物件の実質利回り − ローン金利」で算出される、いわば借入金に対する利益の源泉です

2025年7月現在、日銀の政策変更でローン金利は上昇傾向にあります。 例えば、実質利回り4%の物件に対しローン金利が1.5%から2.5%に上がると、イールドギャップは1%縮小し、キャッシュフローは大幅に減少します。 金利上昇の局面では、高利回り物件でも返済後に手残りがほとんどない、あるいは赤字になるリスクが高まっているため注意が必要です

6 税制効果

 ・現物不動産:損益通算による所得税・住民税の圧縮
現物不動産投資の最大の税務メリットは、損益通算による節税効果です。これは、賃貸経営で生じた会計上の赤字を、給与所得などの他の所得と合算することで、課税対象となる所得全体を圧縮し、結果として所得税や住民税の負担を軽減する仕組みです。

この会計上の赤字を生み出しているのが、現金支出を伴わない経費である減価償却費です。これにより、キャッシュフローは黒字でも、税務上の赤字を作り出すことが可能になります。

なお、不動産所得の赤字のうち、「土地を取得するために借り入れたローンの利子」に相当する部分は、損益通算の対象とならないことに注意が必要です。これは節税目的の過度な土地投資を防ぐためのルールです。建物部分のローン利子は損益通算できますが、この制限を知らないと、想定した節税効果が得られない可能性があるため、必ず理解しておく必要があります。

節税効果は、所得税率が高い高所得者ほど大きくなります。また、法定耐用年数が短い

木造物件(22年)や築古物件を選び、年間の減価償却費を大きく計上し、より高い節税効果を狙う戦略も一般的です。

表:高所得者における損益通算の節税シミュレーション

項目 不動産投資なし 不動産投資あり
給与収入 1,400万円 1,400万円
不動産所得(会計上の赤字) ▲300万円
損益通算後の課税所得(概算) 約987万円 約687万円
納税額(概算) 約278万円 約126万円
年間節税額 約152万円

※実際の計算は各種控除により異なります。あくまで効果を示すための概算です。

 ・現物不動産:相続税評価額による相続税の圧縮
手持ち現金を現物不動産に換えておくことは、将来の相続税負担を軽減するための有効な対策の一つです。最大のメリットは「相続財産の評価額を大幅に引き下げられる」点にあります

現金や預金は、相続時には額面の100%がそのまま評価額となります。例えば、現金1億円を相続した場合、相続税を計算する際の評価額は1億円です。

しかし、不動産は時価(実際に売買される価格)ではなく、国が定めた基準に基づいて計算される「相続税評価額」で評価されます。この評価額が、一般的に時価よりも低くなるため、結果的に相続税の対象となる財産を圧縮できるのです。さらに、その現物不動産が賃貸であれば「貸家」や「貸家建付地」として扱われ、より大きな評価減が適用されます。この時価と相続税評価額の差を活用することが、相続税対策の鍵となります。

 ・REIT:新NISA活用による「非課税」という選択肢
2024年に始まった新NISAの成長投資枠(年間240万円、生涯上限1,200万円)内でREITを保有すれば、そこから得られる分配金と、将来値上がりして売却した際の利益(キャピタルゲイン)が、恒久的に非課税となります。

これは、損益通算のような「課税所得の圧縮」ではなく、利益そのものを「非課税」にするという、非常に強力かつシンプルな税制メリットです。高額な給与所得との相殺を目的としない投資家にとって、REITをNISA口座で運用することは、極めて税効率の高い戦略と言えます。

7 レバレッジと資産拡大

 ・現物不動産:レバレッジによる資産形成の加速
レバレッジ(てこの原理)効果こそ、現物不動産投資の最大の魅力であり、資産形成を加速させる原動力です。金融機関から融資を受けることで、自己資金だけでは到底購入できない高額な資産をコントロール下に置くことができます。入居者の家賃でローンを返済することで、自己の純資産を増やせます。

ただし、2025年現在の融資環境について、金融機関は慎重な姿勢です。 一般的に年収500万~700万円以上が目安とされ、勤務先や勤続年数も厳しく審査されます。 フルローンは年収2,000万円超など、ごく一部の投資家に限定されるのが実情です

 ・REIT:自己資金内での堅実な成長
REIT投資は、ローンを組んで行うものではありません。投資額は、証券口座に入金した自己資金の範囲内に限定されます。そのため、資産の増加ペースはレバレッジを効かせた現物不動産に比べて緩やかになります。これはリスクを抑えた堅実なアプローチですが、資産を飛躍的に増やすポテンシャルには欠けます

あなたに向いているのはどちらか?


これまでの分析を踏まえ、どのような人がREITと現物不動産投資にそれぞれ向いているのかを具体的に提示します。

【この章のポイント】

 ・REITがおすすめな方:少額から始めたい、手間をかけたくない、NISAで非課税メリットを活かしたい、いつでも現金化できる流動性を重視する方。
 ・現物不動産がおすすめな方:レバレッジで資産規模を拡大したい、高所得者で節税したい、相続対策をしたい、「事業経営」に関わりたい方。

REITがおすすめな方

 ・少額から始めたい、または段階的に投資したい方:初期投資を100万円以下に抑えたい、あるいは毎月少しずつ積立投資をしたいと考えている。
 ・手間をかけずに完全にパッシブな収入源が欲しい方:本業が多忙で、物件管理や運営に一切の時間と労力を割きたくない。
 ・「非課税」のメリットを最大限に享受したい方:主な目的が節税ではなく、NISA口座を活用して税金のかからない分配金収入を効率的に得たい。
 ・高い流動性と柔軟性を重視する方:経済状況やライフプランの変化に応じて、いつでも資産を現金化できる状態を保っておきたい。株式市場のような価格変動リスクを許容できる。

現物不動産投資がおすすめな方

 ・ローン(レバレッジ)を活用して資産規模を拡大したい方:自己資金(目安500万円以上)を元手に、より大きな資産を築き、長期的な資産形成を目指している。
 ・高所得者で「節税」を大きな目的の一つとしている方:年収が高く、減価償却と損益通算による所得税・住民税の圧縮効果を最大限に活用したい。
 ・インフレヘッジや相続対策として「実物資産」を保有したい方:金融資産だけでなく、インフレに強いとされる有形の不動産を所有することに価値を見出している。また、相続税評価額の圧縮効果も視野に入れている。
 ・「事業経営」に主体的に関わりたい方:物件選びから運営戦略まで、自らの裁量でコントロールすることにやりがいを感じ、そのための学習や情報収集を厭わない。

結論:変化する市場環境で賢明な選択を

REITは「金融商品」、現物不動産は「事業経営」と本質は全く異なります。 金利が上昇する2025年現在、現物不動産のレバレッジには高いコストと厳しい審査が伴う一方、REITを非課税で運用できるNISAの魅力は相対的に高まっています。 どちらが適しているかは、資産状況や投資にかけられる時間、目指す収益スタイルによって異なります。

REITの次のステップへ。本物の資産を築く不動産投資をお考えなら、湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムにご相談ください

レバレッジを効かせて自己資金以上の資産を動かし、インフレに強い「実物資産」を築いていける点は、現物不動産投資ならではの醍醐味です。 「金融商品だけでは物足りない」「よりダイナミックな資産形成を目指したい」と考えている方は、本格的な不動産投資に踏み出すタイミングとして適しているでしょう。 

私たち湘南ユーミー まちづくりコンソーシアムは、不動産投資による資産形成のプロフェッショナルです。多くの方が最初のハードルと感じる「何から始めればいいかわからない」という不安を解消し、お客様一人ひとりの目標に合わせた成功への道筋を具体的にご提案します。「自己資金はいくら必要?」「自分に合った物件の選び方は?」「有利なローンの組み方は?」など、どんな些細な疑問にも、経験豊富な専門スタッフがお答えします。

金融商品への投資では得られない、不動産オーナーになるという実感と、時代に左右されない揺るぎない資産を築く喜びを、私たちと一緒に見つけていきましょう。