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マンション経営で相続税を抑える方法とは?評価額の仕組みから注意点まで詳しく解説

マンション経営は相続税対策として注目されていますが、その効果を正しく得るには評価額の仕組みや特例、債務控除など多くの要素を理解する必要があります。
本記事では、マンション経営による相続税軽減の方法や仕組み、注意すべきリスクについて解説します。

 

相続税対策としてマンション経営が注目される3つの理由

1. 現金より不動産のほうが相続税評価額が低くなる傾向がある

相続の際、現金はそのままの金額で評価されますが、不動産の場合は相続税評価額が市場での取引価格(時価)よりも低く見積もられる傾向があります。具体的には、建物は「固定資産税評価額(一般的に時価の5~7割程度)」に基づき、土地は「路線価方式(一般的に時価の8割程度)」または「倍率方式(固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価額を算出する方法)」によって評価されます。ただし、どの程度評価額が下がるかは物件の立地や状態、賃貸状況などによって大きく変わります。

また、マンションが満室に近い状態で稼働している場合、賃貸物件としての評価額がさらに低くなる可能性があります。これは、賃貸用不動産には借家権(全国一律30%)などが考慮されるためです。ただし、空室部分については自用地評価となるため、空室が増えるなど、実際の稼働率が低下すると想定ほど評価が下がらない場合もあります。そのため、物件の選定や管理状態が重要になります。

 

2. 相続税の小規模宅地等の特例が活用できる場合がある

小規模宅地等の特例は、被相続人が貸付事業に利用していた土地の評価額を、一定の条件下で大幅に引き下げられる制度です。具体的には、「貸付事業用宅地等」として、200㎡までの部分については評価額が50%減額されるため、マンション経営を行っている土地であれば、相続時の負担を軽減できる可能性があります。

ただし、この特例を適用するにはいくつかの要件があるため注意が必要です。例えば、相続開始前3年以内に貸し始めた物件は原則対象外となり、さらに相続後も賃貸経営を継続することなどが求められます。また、ほかの特例との併用制限などもあるため、制度の詳細を確認しておくことが大切です。

3. 借入金残高が債務控除される

マンションを建築・購入する際に借り入れを行い、そのローン残高が残っている場合は、相続時に債務控除として差し引くことができます。これはマイナスの財産として計上できるため、預貯金などのプラスの財産と合算したときの正味の遺産総額が低くなり、結果的に相続税額を抑えられる可能性があります。

ただし、この仕組みは所得税の住宅ローン控除とは異なる制度です。また、団体信用生命保険(団信)によってローンが完済される仕組みになっている場合、相続時に実際の債務が残らないため、債務控除の対象外となる点には注意が必要です。制度の活用を検討する際には、ローン契約内容や保険の形態をしっかり確認しましょう。

節税額シミュレーションで効果を考える際の注意点

相続税の計算においては、「基礎控除額」が非常に重要です。基礎控除額とは、遺産総額のうち一定額までは相続税がかからない、いわゆる非課税枠のことです。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。

つまり、相続人の数が多いほど基礎控除額は大きくなり、結果として相続税額は少なくなります。シミュレーションが何人の相続人を前提としているかによって、税額は大きく変わってきます。

節税額シミュレーションを見る際は、以下の点を確認することが重要です。

・評価額の算出根拠: 固定資産税評価額や路線価をどのように見積もっているか、賃貸による評価減(借家権割合、貸家建付地評価減)が満室稼働を前提とした過大なものではないか、空室率を考慮した現実的な評価額となっているか。

・ローンの有無と団信加入の有無: 債務控除を考慮しているか、団信に加入している前提か否か。

・法定相続人の数: 何人の相続人を想定しているか。

・基礎控除額: 上記の相続人の数に基づき、基礎控除額がいくらで計算されているか。養子がある場合に基礎控除額に含める法定相続人の数は適切か。(養子の数を基礎控除額に含める際には、被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで)

これらの前提条件が明示されていないシミュレーションは、実態とかけ離れている可能性があるため注意が必要です。

さらに、2024年から導入されたマンション評価に関する新しいルールの影響も考慮する必要があります。これは、特に市場価格と相続税評価額の乖離が大きい、いわゆる「タワマン節税」のようなケースに対応するためのものです。新ルールにより、特に都心部のタワーマンションなどでは、従来想定されていたほどの節税効果が得られなくなる可能性が指摘されています。

最後に、税制は将来的に変更される可能性がある点も忘れてはいけません。現行の税制に基づいて算出されたシミュレーション結果が、将来にわたって保証されるものではないことを理解しておく必要があります。そのため、具体的な対応を検討する際には、シミュレーションだけで判断せず、専門家の意見を踏まえて進めることが大切です。

 

マンション経営を相続税対策に活用する際のリスク

マンション経営は相続税対策として有効な側面がある一方で、当然ながらリスクも存在します。ここでは、マンション経営を相続税対策として考える際に、特に注意しておきたいリスクについて解説します。

評価額が想定より下がらない場合がある

相続税対策の大きな柱である「不動産評価額の引き下げ効果」ですが、これが期待通りに得られないケースがあります。

・空室の影響: 賃貸用不動産の評価額が下がるのは、入居者がいることで利用が制限されるためです。しかし、空室が多い状態が続くと、「賃貸割合」が低下し、建物・土地ともに評価額の減額効果が薄れてしまいます。その結果、想定よりも相続税評価額が高くなり、期待したほどの節税効果が得られない可能性があります。

・マンション評価の新ルール: 2024年から適用されたマンション評価の新ルールにも注意が必要です。これは、市場価格と相続税評価額の乖離が大きい物件(特に都心部のタワーマンションなど)の評価額を、実態に合わせて引き上げることを目的としています。新ルールにより、従来の方法で計算した場合よりも評価額が高くなるケースが出てきており、節税効果が以前より限定的になる可能性があります。

・評価の否認リスク: 相続税対策だけを目的として、短期間で不動産を購入・売却したり、明らかに不合理な取引を行ったりすると、社会通念上「行き過ぎた節税策」と税務署に判断される場合があります。その結果、不動産の評価方法が否認され、時価に近い価格で評価されてしまうリスクもあります。

特例・控除が適用できないケースもある

相続税の負担を軽減する特例や控除は、必ず適用できるとは限りません。

・債務控除の対象外:団体信用生命保険(団信)に加入している住宅ローンは、被相続人の死亡によって保険金で完済されるため、原則として相続税の債務控除の対象にはなりません。借入金を活用した節税効果を見込んでいる場合は、団信の有無を確認することが重要です。

・小規模宅地等の特例の不適用: 土地の評価額を最大50%減額できる「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」の適用には、厳格な要件があります。例えば、「相続開始前3年以内に新たに貸付事業を開始した土地」は原則として対象外となります。また、相続人が貸付事業を引き継ぎ、申告期限までその土地を保有し、事業を継続することなども要件となります。これらの要件を満たせない場合や、他の特例(例えば居住用宅地の特例など)との選択適用・併用制限により、特例が全く使えなかったり、適用できる面積が限られたりするケースがあります。

納税資金が準備できないリスク

相続税は、原則として相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、現金で一括納付する必要があります。マンション経営の家賃収入を納税資金に充てようと考えていても、計画通りにいかない場合があります。

・収益の悪化: 予期せぬ空室の発生や、周辺環境の変化による家賃の下落などにより、マンション経営の収益が悪化する可能性があります。これにより、納税資金として見込んでいたキャッシュフローが得られず、資金繰りに窮するリスクがあります。

・不動産の流動性の低さ: いざ納税資金が必要になった際に、マンションを売却して現金化しようと考えても、不動産は株式などと比べてすぐに買い手が見つかるとは限りません(流動性が低い)。希望通りの価格で、かつ納税期限(10ヶ月)までに売却できない可能性も十分にあり、納税資金の確保が困難になるリスクがあります。
 

相続税対策だけでなく、不動産経営の視点も持つことが大事

ここまでマンション経営が相続税対策として注目される理由や、そのリスクについて解説してきました。重要なのは、相続税対策の側面だけでなく、「不動産経営」という本質的な視点を忘れないことです。

節税目的だけで購入するのは要注意

「相続税を少しでも安くしたい」と目的だけが先行し、不動産経営としての採算性やリスクを十分に検討せずにマンションを購入・建築してしまうのは非常に危険です。相続税評価額を抑えることだけを考えて、例えば以下の視点が欠けていると、後々大きな問題につながりかねません。

・租税回避と判断されてしまう:行う節税目的が税法上、過度な租税回避とみなされないよう慎重に検討する必要がある。税務署は、実質的な資産移転を伴わない形式的な土地活用や、明らかに相続税負担を不当に減少させることを目的とした行為に対して、否認・追徴課税を行う可能性がある。

・収益性の低い物件を選んでしまう:
立地が悪かったり、周辺の賃貸需要を読み間違えたりして、空室が多く収益が上がらない。結果としてローン返済や固定資産税、管理費などの負担だけが重くのしかかる。

・管理の手間やコストを軽視してしまう:
建物は、適切な維持管理をしなければ劣化する。手間やコストを軽視すると、建物が劣化して資産価値の下落を招く。

・将来の出口戦略(売却)を考えていない:
いざという時に売却しようとしても、買い手が見つからなかったり、想定よりも大幅に低い価格でしか売れなかったりする。

・相続時のトラブルの種になる:
不動産は現金のように簡単に分割できないため、相続が発生した際、誰がそのマンションを引き継ぐのか、どうやって分割するのかで相続人間トラブルに発展するリスクがある。

・相続人に負担を強いる:
相続人がマンション経営の知識や意欲がなく、引き継いだものの適切に運営できず、負担だけが残ってしまう

節税効果はあくまで副次的なメリットとして捉え、長期的に安定した収益が見込めるか、維持管理は適切に行えるか、将来的に売却や組み換えは可能か、といった不動産経営の視点を持つことが何よりも大切
です。

プロと一緒にプランを練ることが安心につながる

相続税対策としてマンション経営を考える際には、不動産や税務の専門家に相談しておくと安心です。例えば税理士であれば評価額の見積もりや申告に必要な書類作成までサポートしてくれます。不動産会社なら物件の選定から管理まで幅広く対応が可能です。

また、一次相続だけでなく二次相続の発生や将来の家族構成の変化も視野に入れてプランを立てておくと、長期的に見てより安定した資産活用が期待できます。相続税の軽減だけでなく、日々の生活資金や収支バランスを含めた総合的な対策を考えることで、マンション経営のリスクを抑え、着実な資産形成につなげられるでしょう。

長期経営を視野に入れるなら湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムにお任せください

マンション経営による相続税対策では、単に建てるだけや購入するだけではなく、資産状況や家族の希望、地域の需要など多角的な視点が欠かせません。しかし、不動産評価や相続税の特例、ローンの扱いなどは個人で調べるにはハードルが高いため、「どの方法が最善なのか本当に分からない…」と悩む方も多いのではないでしょうか。

私たち湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムは、相続税対策の視点も組み合わせながら、お客様の資産を最大限に活かすサポートを行っています。「どのくらいの節税効果がある?」「将来の家族構成を見据えてどう運用すればいい?」など、不安や疑問があれば、まずはお気軽にご相談ください。納税時の資金確保の方法や、二次相続まで考慮した長期的プランなども含めて、幅広い選択肢をご提案いたします。マンション経営だけに限定しない選択肢を検討し、節税対策と安定収益の両立をめざしましょう。