資産管理会社を設立するメリットとは?副業サラリーマン・個人投資家必見の節税戦略とタイミング
本業の給与に加え、不動産投資や副業での収益が拡大してくると、個人の所得税における税金の重みが無視できなくなってきます。
実際に「苦労して収益を上げても手残りが圧縮されてしまう」 「税コストがボトルネックとなり、次なる投資への複利効果も削がれているのではないか」と、個人の税制構造における限界や課題に直面している方もいるのではないでしょうか。
こうした課題への対応策として資産管理会社、いわゆるプライベートカンパニーを設立することで、税金の負担を抑えつつ、効率的に資産を形成できる可能性があります。本記事では、資産管理会社を設立するメリットやデメリット、具体的な設立のタイミングについて解説します。賢く資産を守り、育てていくためのヒントとしてご活用ください。
【この記事のポイント】
・個人の所得税(最高約55%)と法人税(約20〜30%台)の税率差を活用することで、手元資金を効率よく残せる。
・赤字の繰越期間が個人の3年から最長10年に延びるほか、経費計上の範囲が広がるなど、柔軟な資産運用が可能になる。
・課税所得900万円が法人化検討の目安だが、将来の規模拡大を見据えるなら早期設立が有利な場合もある
資産管理会社とは資産を管理・運用するための法人
まずは資産管理会社の基本的な定義と、なぜ今多くのサラリーマン投資家に注目されているのか、その背景を解説します。
【この章のポイント】
・資産管理会社(プライベートカンパニー)とは、不動産や株式などの資産運用を主目的とし、資産を守り増やすための法人である。
・本業と副業を合算する「総合課税」による高い税負担を回避し、手元資金を残す手段として注目されている。
・「個人の財布」とは別に「法人の財布」を持つことで、税率をコントロールしながら効率的な資産形成が可能になる。
資産管理会社の定義
資産管理会社とは、不動産や株式などの資産を保有・管理・運用することを主な目的として設立される法人のことです。一般的な事業会社が製造や販売で利益を上げるのに対し、資産管理会社は資産から生じるインカムゲイン(家賃や配当)やキャピタルゲイン(売却益)が主な収入源となります。
通称「プライベートカンパニー」とも呼ばれ、自分や家族の資産を守り増やす役割を持ちます。事業内容は不動産賃貸や株式売買が中心で、外部に向けた積極的な営業活動は基本的に行いません。法的な形態としては、合同会社や株式会社を選択するのが一般的です。
副業会社員や投資家にも注目される背景
働き方改革や副業解禁の流れを受け、副業や投資による所得が増加傾向にある中、税負担を軽減しつつ手元資金を効率よく残す手段として、資産管理会社に注目が集まっています。
日本の税制では、本業の給与所得と副業の不動産所得などを合算して課税される「総合課税」が適用されます。そのため、本業の年収が高い方が副業で利益を出すと、その利益に対して高い税率帯で課税されることになります。
こうした税制上の背景から、個人の財布とは別に「法人の財布」を持ち、税率のコントロールを通じて資産形成を効率的に進めたいと考える人が増えています。また、資産管理という形態であれば、実質的な稼働が少なく、会社員の副業規定にも抵触しにくいという側面も選ばれる理由の一つです。
メリット1:節税効果が期待できる
資産管理会社設立の最大のメリットは、個人と法人の税率差を利用した節税効果です。
【この章のポイント】
・所得が増えるほど税率が上がる個人の累進課税に対し、法人は税率が比較的フラットなため、税負担を大幅に抑えられる可能性がある。
・自分への役員報酬会社の経費にしつつ、個人側では給与所得控除を受けることで、二重の節税効果が期待できる。
・役員報酬の額を調整することで、個人の課税所得を税率の低い範囲に収めるコントロールが可能になる。
個人と法人の税率差を活用
個人の所得税は超過累進課税を採用しており、所得が増えれば増えるほど税率が上がります。所得税と住民税(一律約10%)を合わせると、最大で約55%もの税金が課せられます。
一方で、法人税は比較的フラットな構造です。中小法人の場合、実効税率はおおよそ20%台から30%台前半で推移します。
例えば、課税所得が高い個人の場合、そのまま受け取れば約50%が税金で消える利益も、法人で受け取れば約30%の税負担で済むケースがあります。この税率のギャップを活用することで、個人で税金を払うよりも法人で払った方が、手元に残るキャッシュが多くなります。
給与所得控除によるメリット
法人から個人へお金を移す際に「役員報酬」という形をとると、受け取る個人側で「給与所得控除」という控除枠が使えます。これはサラリーマンに認められた概算経費のようなもので、税金がかからない枠のことです。
・法人側:支払った役員報酬を経費(損金)にでき、法人税を圧縮できる(ただし、定期同額給与などのルールを順守する必要があります)。
・個人側:受け取った報酬から給与所得控除を差し引いた額にのみ課税される。
このように、法人と個人の両方で税金を減らす「二重の節税効果」が期待できるのが大きな強みです。また、役員報酬の額を調整することで、個人の課税所得をコントロールし、税率の低い範囲に収めることも可能になります。
メリット2:経費として計上できる範囲が広がる
個人事業主よりも法人の方が認められる経費の幅が広く、柔軟な運用が可能です。
【この章のポイント】
・自宅を社宅扱いにすることで家賃の多くを経費化したり、出張手当を活用したりと、個人よりも経費計上の選択肢が広がる。
・家族を役員にして報酬を支払うことで所得を分散させ、世帯全体での税負担を軽減できる。
・ただし、家族への報酬支払いは勤務実態が必須であり、実態がない場合は税務調査で否認されるリスクがある。
生命保険料や社宅家賃の扱い
法人化の大きなメリットの一つが、社宅制度(借上社宅)の活用です。会社名義で賃貸物件を借り、それを役員(自分)に貸し出す形にすれば、家賃の多くの部分を会社の経費として計上できます。個人負担は賃料相当額(多くは相場の10~20%程度)で済むため、実質的な手取り収入を大きく増やす効果があります。
また、法人契約の生命保険料も、契約形態によっては全額または一部を経費計上可能です(2019年の税制改正により、かつてのような「全額損金で多額の解約返戻金」というスキームは現在厳しく制限されています)。将来の退職金積み立てや事業保障として活用しながら、法人税の課税対象額を減らすことができます。
さらに、出張旅費規程を作成することで、出張時の日当を経費として計上が可能です。日当は税務上の要件を満たす範囲であれば、受け取る個人側では課税対象とならず、結果として会社から個人へ資金を移す手段の一つになります。
家族への役員報酬支払い
配偶者や親族を役員にし、業務への対価として報酬を支払うことで「所得分散」の効果が得られます。
日本の税制は、一人が高額な所得を得るよりも、家族複数人で所得を分け合った方が、世帯全体の税負担は軽くなります(累進課税の緩和)。家族に役員報酬を支払うことで、法人の利益を減らして法人税を抑えつつ、家族それぞれの所得税率も低く抑えることが可能です。
ただし、報酬を支払うためには、家族が実際に会社の業務(物件管理、経理、事務など)を行っている「実態」が必要です。名ばかりの役員への報酬は税務調査で否認されるリスクがあるため、勤務実態の記録を残すなどの対策が求められます。
メリット3:赤字の繰越控除期間が最長10年に延びる
投資にはリスクがつきものですが、損失が出た場合の救済措置においても法人は個人より優遇されています。
【この章のポイント】
・事業の赤字を翌年以降の黒字と相殺できる繰越控除の期間が、個人の3年から法人は最長10年に延長される。
・不動産所得の赤字と株式投資の利益など、異なる種類の投資収益を合算(損益通算)して全体の税金を抑えられる。
・初期費用などで大きな赤字が出やすい不動産投資において、長期間にわたり黒字を相殺できる点は大きなメリットとなる。
個人事業主との期間の違い
事業で赤字が出た場合、その赤字を翌年以降の黒字と相殺できる制度を「繰越控除」と言います。個人事業主(青色申告)の場合、繰越期間は最長3年間ですが、法人の場合は最長10年間に延長されます。
不動産投資では、物件購入時の諸費用や大規模修繕などで、一時的に大きな赤字が出ることがあります。法人は繰越期間が長いため、この大きな赤字を10年間にわたって使い、将来発生する黒字を相殺し続けることができます。結果として、税金を払わなくて良い期間を長く確保できるため、初期投資が大きく回収に時間がかかる不動産投資などでは非常に有利に働きます。
損益通算の活用
法人は、事業全体でのトータルの利益に対して課税されるため、異なる種類の投資を行っている場合の「損益通算」が容易です。個人の場合、「不動産所得の赤字」と「株式の売却益(譲渡所得)」は税区分が異なるため相殺できません。しかし、法人の場合はすべての収益と費用を合算して計算します。
例えば、不動産賃貸業で大規模修繕を行い赤字が出た年に、法人口座で運用している株式投資で利益が出ていた場合、これらを相殺して全体の税金を抑えることが可能です(個人の証券口座での利益とは相殺できません)。複数の収入源を持つ場合、一方で出た損失を無駄にせず、全体の節税につなげられる点は法人ならではのメリットです。
相続税対策としての有効性
資産管理会社は、自身の代だけでなく、将来の資産承継を見据えた対策としても極めて有効です。
【この章のポイント】
・不動産を法人所有にして株式化することで、分割しにくい現物資産を1株単位で公平に相続できる。
・会社設立時や借入が多い時期など、株価が低いタイミングで生前贈与を行うことで、将来の相続財産を圧縮できる。
・不動産そのものの贈与よりも手続きがシンプルで、コストを抑えながらスムーズな資産移転が可能になる。
資産の株式化による分割
不動産などの現物資産は、物理的に分割することが困難です。例えば、アパート1棟を兄弟3人で分けるとなると、共有名義にするしかなく、将来的な売却や管理で揉める原因になりがちです。
しかし、法人所有に切り替えると資産を株式として保有できるため、1株単位で細かく分けることが可能になります。 「長男に40株、次男に30株、三男に30株」といったように、数字で明確に分割できるため、相続人同士の不公平感を減らし、遺産分割協議がスムーズに進みやすくなります。
贈与税の節税効果
時間をかけて株式を生前贈与することで、相続時の資産圧縮が可能です。会社設立当初や借入金が多い時期は、会社の株価(評価額)が低くなる傾向があります。この「株価が低い時期」に、将来値上がりが期待できる会社の株式を子供たちに贈与してしまうのです。
不動産そのものを贈与すると登記費用や税金の手間がかかりますが、株式の贈与であれば手続きは比較的シンプルです。毎年少しずつ贈与を行うことで、将来の相続財産を合法的に減らし、次世代への資産移転コストを最小限に抑えられます。
社会保険への加入が可能になる
会社員が法人を設立することで、社会保険(健康保険・厚生年金)の面でもメリットが生まれます。
【この章のポイント】
・法人化により厚生年金に加入できるため、将来の年金受給額増や手厚い遺族年金などの保障が得られる。
・配偶者や子供を社会保険の扶養に入れることで、家族分の健康保険料や年金保険料の負担をゼロにできる可能性がある。
・ただし、本業の給与と合算して保険料が再計算されるため、支払総額が増えるケースもある点には注意が必要である。
厚生年金による保障の手厚さ
法人化して役員報酬を受け取ると、社会保険への加入義務が発生します。個人事業主は国民年金のみですが、法人は厚生年金に加入できるため、「2階建て部分」が加算され、将来受け取る年金額の増加が見込めます。また、万が一の際の遺族年金や障害年金の保障も、国民年金に比べて厚生年金の方が手厚くなっています。
自分だけでなく、役員として働いている配偶者などの家族も加入することができるため、家族全体の社会保障を厚くすることが可能です。
扶養家族の加入メリット
要件を満たせば、家族を社会保険の扶養に入れることができます。 国民健康保険には「扶養」という概念がなく、家族の人数分だけ保険料がかかります。しかし、社会保険であれば、扶養に入れた家族(配偶者や子供)の健康保険料負担はゼロになります。
また、配偶者を扶養(第3号被保険者)にすれば、配偶者の年金保険料負担もゼロになります。家族が多い世帯ほど、社会保険の扶養制度を活用することで、固定費としての保険料を大幅に削減できる可能性があります。
ただし、サラリーマンが副業法人を作る場合、本業の給与と副業の役員報酬を合算して社会保険料が再計算(按分)され、結果として支払う保険料の総額が増える場合がある点には注意が必要です。
設立検討のタイミングは「課税所得900万円」が目安
では、具体的にどのタイミングで資産管理会社を設立すべきなのでしょうか。一般的な目安となるラインを紹介します。
【この章のポイント】
・個人の税率が跳ね上がる課税所得900万円を超えたあたりが、法人化による節税メリットが出る損益分岐点となる。
・将来的に資産規模を拡大する計画があるなら、後からの移転コスト(登録免許税や取得税など)を避けるため早期設立も有効である。
・個人所有の物件を法人に移すと、時価取引となり譲渡所得税が発生するリスクもあるため、最初の判断が重要になる。
法人化の損益分岐点
一般的に、給与所得や不動産所得などを合わせた課税所得が900万円を超えると、法人化のメリットが出やすいと言われています。
日本の所得税率は、課税所得が900万円を超えると33%(住民税と合わせると約43%)に跳ね上がります。一方で、中小法人の実効税率は20%~30%程度です。つまり、所得が800万円~900万円の境が、個人と法人の税負担が逆転する「損益分岐点」となります。
ご自身の源泉徴収票や確定申告書を確認し、このラインに近づいている場合は、シミュレーションを行う価値が十分にあります。
将来の事業拡大も見据えた判断
現在の所得だけでなく、将来のビジョンも重要な判断材料です。 もし今後、物件を買い増して資産規模を拡大していく計画がある場合は、今の所得が900万円以下であっても、早めに法人化した方が長期的なメリットは大きくなります。
個人で購入した物件を後から法人に移すと、登録免許税や不動産取得税などの移転コストがかかります。さらに、時価での売買が必要になるため、譲渡所得税が発生するリスクもあります。最初から法人で購入すれば、これらのコストを避けられます。また、法人の決算書(実績)を積み上げることで金融機関からの信用を得やすくなり、融資を受けやすくなる可能性もあります。
設立にかかる費用と維持コスト
メリットだけでなく、設立や維持にかかるコスト(デメリット)もしっかりと把握しておきましょう。
【この章のポイント】
・設立時の法定費用として、株式会社は約20〜25万円、合同会社は約6〜10万円程度の初期費用がかかる。
・維持コストとして、赤字でも発生する法人住民税(約7万円)や、決算申告のための税理士報酬(年30〜50万円)が必要になる。
・法人化による節税額が、これらの設立・維持コストを上回るかどうかが、設立すべきかの判断基準となる。
設立時の法定費用
法人を設立するには、登記などの初期費用がかかります。
・株式会社: 登録免許税や定款認証費用などで約20万円~25万円程度。
・合同会社: 定款認証が不要なため、約6万円~10万円程度。
コストを抑えたい場合は、合同会社が選ばれる傾向にあります。加えて、司法書士などの専門家に手続きを依頼する場合は、別途手数料(数万円~10万円程度)が必要です。
併せて、法人を維持するためには、毎年発生するコストも考慮する必要があります。
・法人住民税の均等割:会社が赤字であっても、年間約7万円の納税が必要。
・税理士報酬:法人の決算申告は複雑なため、税理士への依頼が一般的。年間数十万円(30万~50万円程度)の費用が発生します。
・社会保険料:加入する場合、会社負担分の保険料が発生します。
法人化による節税額が、これらの維持コストを上回るかどうかが、設立判断の重要なポイントとなります。
「箱」を作るだけでなく、「中身」の質にこだわる
資産管理会社の設立は、節税や相続対策において有効な選択肢です。しかし、会社はあくまで資産を守るための「箱」に過ぎません。その箱のメリットを最大化できるかどうかは、中に入れる「中身(=収益物件)」の質にかかっています。
せっかく法人を作っても、収益性が低かったり、将来的に価値が暴落するような物件を選んでしまったりしては、維持コストばかりがかかり、本末転倒な結果になりかねません。長期的な運用や承継を前提とする法人だからこそ、一過性のブームに流されない、確かな資産価値を持つエリアへの投資が求められます。
私たち湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムは、都心からのアクセスとブランド力を兼ね備え、長期的な資産保全に適した湘南エリアに特化した提案を行っています。単なる物件紹介だけでなく、法人の設立シミュレーションから最適な物件の選定、そして次世代への承継まで、お客様の資産形成をトータルでサポートいたします。
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